皆さんは、ホワイトニングの「後戻り」について知っていますか?
ホワイトニング治療期間中は、飲食などに注意を払う必要があるということは聞いたことがあるかもしれません。
しかし、なぜ注意を払わなくてはいけないかわからず、どうしても普段の生活をして「後戻り」をしてしまう人がいます。
そこで今回は、ホワイトニング治療期間中の歯の状態や注意すべきことを解説します。
- ホワイトニングをしたら歯はどうなるの?
- ホワイトニング後何時間たてば大丈夫なの?
- どんなことに注意しなくちゃいけないの?
といった疑問に答えていくので、ぜひ最後までお読みください。
ホワイトニング期間中の歯の状態とは?
ホワイトニングは薬剤を用いてエナメル質の内部に入り込んでしまった色素やミネラル分を除去することで、歯についてしまった黄ばみやシミを除去するための治療です。
歯の表面に付着した汚れであれば、ブラッシングやデンタルクリーニングで取り除くことができます。
これに対してエナメル質の内部に入り込んでしまった色素は、簡単に取り除くことができません。
ホワイトニング治療では特殊な薬剤を使用してエナメル質の内部のミネラル分を溶かすことで、沈着した色素を除去します。
唾液にはミネラル成分が含まれているので、数日程度でエナメル質のミネラルが回復します。
ミネラル分が失われている間は、食品などに含まれる色素が結晶の内部に入り込みやすくなります。
ホワイトニングでは色素の除去と同時に、エナメル質の表面に細かい凹凸を付けることで光を乱反射させて象牙質が透けないようにします。
人間の歯の表面は硬いエナメル質の結晶に覆われていますが、「ぺクリル」というタンパク質の薄い膜がエナメル質を覆って保護しています。
ホワイトニング治療の際は一時的にぺクリルが除去されることで、薬剤がエナメル質に沈着した色素を取り除きます。
ぺクリルが回復するまでには1~2時間程度の時間がかかるので、この間はエナメル質を保護する膜が無い状態となります。
ホワイトニング治療の直後はエナメル質の表面を保護するぺクリルが剥がされているため、この間に酸性の強い食品や飲料を飲食するとエナメル質の表面が溶かされてしまいます。
エナメル質は唾液に含まれるミネラル分により補修(再石灰化)されますが、この時に表面の凹凸が変化することで光を透過しやすくなります。
濃い色素を含む食品に要注意
ホワイトニング治療期間中はエナメル質に含まれるミネラル分が失われているので、普段よりも色素が沈着しやすい状態です。
この間に濃い色素を含む食べ物や飲み物を飲食すると、歯にシミや黄ばみが付いてしまうことがあります。
治療期間中に歯に色素が沈着して「後戻り」が起こると、治療回数・期間が長くなってしまうので注意が必要です。
ホワイトニング期間中は、濃い色素を含む食品を飲食しないように心がけるようにしましょう。
特に治療後24時間以内はエナメル質のミネラル分が失われているので注意を払う必要があります。
注意が必要なのは、ポリフェノールやアントシアンを多く含む食品・タンニンやカテキンを含む食品・イソフラボンを含む食品などです。
これらの他にも食品添加物(着色料)が使用されている加工食品・飲料も要注意です。
具体的には大豆・ブドウやイチゴなどの色の濃い果物・チョコレートやココア・コーヒーや各種のお茶・赤ワイン・醤油やケチャップなどの色の濃い調味料・ほうれん草やトマトなどの緑黄色野菜・ワサビやマスタードなどの調味料・カレーなどのように香辛料を多く含む料理、などがあります。
トマト系のソースを使用した料理(ピザやパスタなど)や、ビーフシチューなども濃い色素を多く含んでいるので要注意です。
抹茶の色素も歯にシミが付いてしまう原因なので、抹茶系のアイスクリームやお菓子も避けた方が良いでしょう。
コーラやその他の清涼飲料に加えて、チューハイなどのアルコール飲料も、食品添加物として着色料が添加されているので避ける必要があります。
缶飲料は中身が見えないので、コップに注いでから飲むようにしましょう。
エナメル質の表面を溶かす食品に要注意
ホワイトニング期間中に避けるべき飲食物は、濃い色素を多く含む物だけではありません。
エナメル質の表面を溶かしてしまう酸性の食品や飲料にも注意が必要です。エナメル質を保護する役割をするぺクリルが回復するまでに1~2時間が必要です。
この間は色素を含まない食品であっても、酸性が強い食べ物や飲み物はNGです。
治療後2時間以内に避けるべき食品とは、クエン酸・酢酸・乳酸などを含む酸味のある食品・炭酸飲料・アルコール飲料などです。
酸味が感じられないような食品であっても、食品添加物に使用されている成分に酸性を示すものがあるので注意が必要です。
歯の表面を溶かしてしまう酸性の料理や食材として、酢の物や酢豚などのように食酢を使用した料理・ワインビネガーや食酢が使用されているドレッシングや各種ソース・柑橘系やリンゴなどのように酸味のある果物・ヨーグルトなどがあります。
梅やレモンなどを使用したソース・加工食品などにもクエン酸が多く含まれているので要注意です。
多くの果物にはクエン酸が含まれているので、ホワイトニング治療直後は生食や果汁が含まれる飲料を避けるようにしましょう。
加工食品の中には、食品添加物としてクエン酸が添加されている物が多いので注意が必要です。
清涼飲料水のほとんどは酸味を付ける目的でクエン酸が添加されているので、スポーツ飲料や炭酸飲料も避ける必要があります。
ホワイトニング治療直後は色素の強い食品に加えて、エナメル質を溶かしてしまう酸性の食品も避ける必要があります。
ホワイトニング治療を受けてから2時間以内は特に飲料に注意が必要なので、水分補給は水だけにしておきましょう。
飲食物以外に注意すべきこととは
ホワイトニング治療期間中は色素が濃い食材や酸性の食材・加工食品を避ける必要がありますが、飲食物以外にも注意を払う必要があります。
飲食物に含まれる色素以外にも、歯の黄ばみやシミの原因となる物質があります。
身近なものであれば、タバコの煙に含まれるヤニ(タール)があります。
タバコを吸うと口の中に煙が充満して唾液に溶け込み、歯に付着することで黄ばみの原因になってしまいます。
タバコの煙に含まれるタールは食品に含まれる色素よりもエナメル質と強く結合する性質があるので、治療期間中は特に注意が必要です。
ホワイトニング治療を受けた直後にタバコを吸ってしまうと、漂白効果が激減してしまいます。
ホワイトニング治療を受ける直前や治療期間中は、喫煙をしないことがベストです。
どうしても我慢ができない場合には、治療直後に一定の時間内に限りタバコを吸わないようにしましょう。
デンタルクリニックで治療をうけるオフィスホワイトニングの場合は、治療後24時間はタバコを避けるべきです。
ホームホワイトニングであれば、薬剤をゆすいでから約6時間はタバコを吸わないようにしましょう。
タバコ以外に注意が必要なものに、茶色のうがい薬があります。
うがい薬には殺菌成分としてヨードが含まれていますが、これは歯の黄ばみやシミの原因になってしまうという副作用があります。
風邪やインフルエンザ対策でうがいをしたい場合には、色が付いていない透明タイプのうがい薬を利用するようにしましょう。
ホワイトニング期間中は普段よりも歯に色素などが沈着しやすい状態なので、飲食物以外でも口の中に入れる物のすべてに注意を払うことが大切です。
ホワイトニング治療を行った直後はエナメル質の表面を保護するぺクリルが剥がれていて、ミネラル分が溶け出している状態です。
この間は普段よりも歯に色素が沈着しやすいので、飲食物やタバコ・うがい薬などに特に注意を払う必要があります。
治療が終了してある程度の期間が経過すれば色の濃い食品を食べることができますが、漂白効果を持続させるためには食後にしっかりと歯を磨いてメンテナンスをすることが大切です。
可能であれば、ホワイトニング治療後にもタバコを吸わないようにすることで漂白効果の持続期間を長くすることができます。